手のこと
30代のころ手の感覚がおかしくなって弾けなくなった話です。
今でいうところのジストニアだと思う。診断されたわけではないけれど。
下手なんだから人の3倍は練習するんだ!!なんてことを18歳からやり続けたら
指を下向きに動かすと上向きにひゅんと反るようになり、弾けなくなっちゃった。
怖いです。脳の指令が指にいかないのだから。
そのころ弾いた録音はあまり残ってませんが、サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番は音源がありました。
人生最高に怖い本番でした。
下手に動くと指が逆向きに反って破綻する。よく弾いたよな。。。。
コントロール効いてません。。。。
指揮者の横島さんに感謝、奈良フィルに感謝。見事なサポートでした。涙目。
このあとかなあ、ラヴェルの「鏡」を最後にソロを弾くのをやめたのは。
もうピアノ聴くのも嫌い。ピアノ曲嫌い。弾けない。
その後たまたま誘われた歌曲研究会ソワレの会に入り、ディレクターの益子明美先生に「自分のピアノ嫌いなんやね」と図星でした。下手だと思い込んでいたけれど、益子先生にはなぜか弾ける人認定されて、「ことば」を中心に音楽をするようになったら手が治っていきました。演奏行為とは運動じゃなく、音楽から自然と生まれるもの。音楽は「ことば」から生まれる。ソワレの会は私にとっては音楽家サナトリウムのようなところでした。と言ったら怒られるか。
音楽を伴わない反復練習をする機械を手にはめているニュースを見て、疑問に思ったので昔のことをつい書いてしまいました。