谷川俊太郎を歌う午後
谷川賢作さんのピアノを聴くのは初めて。なんだろう、この楽しい音は。どうやってるんだろう?
このコンサートでは、きっとみなさん知らない曲ばかりだったと思います。詩はすべて同じ詩人・谷川俊太郎さん、曲もすべて同じ作曲家・谷川賢作さんによるものです。朗読を交えながら歌うスタイルなのですが、ライブ感がたまらない。絵麻さんが、あざとくなく、これらの詩をまっすぐに歌ってくれました。
いい人ぶったり、子どもっぽく演じたり、あれこれと小技をきかせたくなるのが普通かもしれないけれど、そうしたことがまったくありませんでした。
「さようなら」という曲では、少ししんみりしました。昨年冬、谷川俊太郎さんが亡くなったばかりだったからかもしれません。
やっぱり、谷川俊太郎さんはすごい、とあらためて感じました。そして、もともと歌のために書かれたわけではない詩に曲をつけた賢作さんの、頭の柔らかさと言葉への自然な感覚にも、たまげました。
あとでお話ししたとき、「ビバップを通過しているからね」とおっしゃっていました。「ビバップ」はジャズの用語でよく聞くけれど、どういうことなんだろう?と尋ねると、「ダンスミュージックを芸術音楽にしたもの」と教えてくださいました。でも、言葉で説明しきれない感じがありました。
わたしも「ビバップ」したい!
生徒たちも、このコンサートに来ればよかったのに。きっと、つかめるものがあったはずです。
わたしが企画しているコンサートは、わたしの音楽の延長線上にあります。レッスンで伝えたいこと、そして伝えきれないことが、そこにはあるのにな。