ピアノのリサイタル
この秋冬は、めずらしくピアノのリサイタルを2本聴いた。
浜離宮朝日ホールでのアレクサンダー・コブリンと奈良100年会館でのアドルフォ・バラビーノ。
ピアノリサイタルに行くことが珍しい。なぜって?奈良にいるとなんだかピアノ曲を聴こうと思わないのだよ。どんな心持でショパンやベートーヴェンを聴いたらいいのかほんとうに分からない。音にはその場所でその時間で鳴り響くための文脈がいるのだ。
ロシア人によるロシアのピアノ曲が聴きたくて聴いたコブリン。すこぶるシンプル、音に無駄がない。もちろん動きにも。シンプルに弾くことがいちばん難しいのだと。巷にあふれる謎のロシアン奏法など吹き飛ばされた。
《 Program 》11/1 アレクサンダー・コブリン
・ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」 Op.39
Sergei Rachmaninov: Études-tableaux Op.39
・チャイコフスキー:四季 Op.37a
Pyotr Il'yich Tchaikovsky: The Seasons Op.37a
《 アンコール曲 》
・R.シューマン:子供の情景 op.15 より第1曲「見知らぬ国」
アドルフォ・バラビーノはイタリア人のピアニスト。大人の生徒さんと聴きに行った。客層がいかにもD○G会社関係で、彼の繊細なピアニズムを求めて来ていた人がどれくらいいたのだろう。コンサート会場で今聴いた音を共有できる人がいると、幸せな気持ちになる。彼のピアノを愛する人たちと聴きたかったなあ。
《 Program 》12/6 アドルフォ・バラビーノ
ガルッピ:ピアノ・ソナタ ハ長調 Illy No.55
L.V.ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番ニ短調 Op.31-2「テンペスト」
S.ギフタキス:Deep Blue/Three times the love Op.43
F.ショパン: 2つのノクターン
第8番 変ニ長調 Op.27-2
第19番 ホ短調 Op.72「遺作」
即興曲 第4番 嬰ハ短調
F.リスト:巡礼の年 第3年より 第4曲「エステ荘の噴水」
M.ラヴェル:夜のガスパールより 第1曲「オンディーヌ」
バラビーノのピアニズムに触れることができたのは良かった。繊細なかすかな響きに聴衆の耳を慣れさせ「エステ荘の噴水」から「オンディーヌ」へとクライマックスを持っていく手法は見事だった。