音楽旅=コンサートツーリズム
波多野睦美さんが、「来たら?」とお誘いくださるコンサートにこの数年全国津々浦々お出かけした。
それがとても楽しかったので、勝手に『音楽旅=コンサートツーリズム』と名付けてみた、という話です。
これまでの覚えている限りの記録
- 2018年9月 東京 高橋悠治(pf)&波多野睦美(Ms) シェーンベルク 架空庭園の書 @ムジカーザ
- 2021年4月 東京 ベンジャミン・ブリテンの世界 番外編 @東京藝術大学奏楽堂
- 2022年4月 東京 ベンジャミン・ブリテンの世界 IV @東京文化会館大ホール
- 2022年9月 大分 想いの届く日 @平和市民公園能楽堂
- 2023年10月 能登 茶寮杣径オザシキコンサート・2 @茶寮 杣径
- 2024年6月 札幌 イギリス音楽祭 @Studio26
2018年9月東京@ムジカーザ 終演後に開かれた高橋悠治さんの80歳のお誕生日会に、恐れ多くも混ぜていただいた。
テレビで見かけるそうそうたる顔ぶれに、あの界隈のしゃれたデリ、妖艶なダンサー、聞いたこともないサックスの音――まるで竜宮城のようだった。
食べたもの:おしゃれデリ
2021年4月東京@東京藝術大学奏楽堂 コロナ禍のコンサートは、客席が市松模様に配置されていた。
凄腕の奏者がずらりと揃った、超贅沢なブリテンのコンサート。
当時は、採算度外視の豪華な公演が、あちこちで開催されていた。
食べたもの:築地の寿司
2022年4月東京@東京文化会館大ホール ブリテンの歌劇《ノアの洪水》Op.59。
意外にも、クラシック音楽にまったく興味のない夫が楽しんでいた。
ちなみに、同じくクラシックに関心のない息子は、「ルネサンス音楽がいちばんしっくりくる」とのこと。客層の開拓といえば、つい「お花畑名曲コンサート」に走りがちだが、そろそろマーケティングを再考すべきかもしれない。
食べたもの:文化会館のレストラン
2023年9月大分@平和市民公園能楽堂 鉄輪温泉の柳屋に宿泊させてもらった。
美しい温泉宿と、おいしい食事。大分は何もかもが美味しくて、波多野さんの繊細な舌は、この環境で育まれたのだと実感する。
今思えば、ここからが「音楽旅」の本領発揮だったのだと思う。
日常から解き放たれ、旅に出て、その土地の食や人と出会い、音楽を聴く――。
場所が変わると、音の聴こえ方も変わる。それに合わせて、演奏もきっと変化しているのだと思う。

食べたもの:柳屋の夕食と地獄蒸し 大分市内で魚など
2023年10月能登@茶寮 杣径 スケジュールがタイトで参加を迷っていたところ、なぜか波多野さんから突然、宿の連絡が届いた。気がつけば、大分の参加者とのライングループもできていて、まるで見えざる手に導かれているかのように、強行突破で参加を決めた。
塗師 赤木明登さんによるオープンしたばかりのオーベルジュ「杣径(そまみち)」へは、金沢からレンタカーで向かった。なぜか途中でナビが狂い、同じ道を三周も回る羽目に。まるで磁場が狂っていたかのようだった。
能登の海沿いの家々は本当に美しく、北前船で栄えた土地ならではの佇まいを感じた。風景も、食材も、音楽も、すべてが素晴らしく、「音楽旅」の醍醐味を味わいつくす。
でも、それらの多くは元旦の地震によって失われてしまった。オープンしたばかりの美しい「杣径」も、つい最近、取り壊すことが決まったという。
赤木さんは大きな流れに抗う強いひと。一貫して、能登の風景と伝統、そして味を守り、継承し続ける姿勢を崩していない。
食べたもの:杣径(そまみち)の夕食とデリバリー朝食

2024年6月札幌@Studio26 列車や飛行機での移動が好きなので、千歳への道中はばかみたいに舞い上がっていました。
空港に降り立つと、空気がまるでヨーロッパのよう。6月なのにさらりとしていて心地よい。
宿泊先は、中島公園そばにある、波多野さんおすすめの中島公園プレミアホテル。
とにかく波多野さんの「音楽旅」にハズレはありません。宿も食も、いつも飛び切りなのです。
どなたか「波多野睦美がセレクトする『音楽旅』」なんていう企画を、やってみませんか??
Studio26のイングリッシュガーデンでは、バラが見事に咲き誇っていました。
リサイタルの翌日にも関わらず、ピアニストの影山裕子さんがパーティを開いてくださって、そのときのキノコのスープが、いまでも忘れられません。
食べたもの:ホテルの朝食 影山裕子さんの手料理
