栃尾さんのバリトンサクソフォンでベルクなど (5/13)

昨年の夏に栃尾さんとのマーラーの角笛がすごくしっくりときたものだから、ツェムリンスキーやR.シュトラウスやベルクなんかもやってみたいですね、と思いプログラムにA.ベルクの『7つの初期の歌』を入れてみたのです。あの時代の色彩感と疾走するエネルギーと甘美なメロディーを栃尾さんの演奏で聴いてみたい!じっさい超かっこよかったので本番の演奏をあげておきます。6曲目:愛の賛歌」、7曲目:夏の日々

それと高橋悠治さんの作品も取り上げました。昨年波多野睦美さんとのコンサートで『だるまさん千字文』(詩:矢川澄子、曲:高橋悠治)を演奏する機会がありました。波多野さん曰く「悠治さんの曲は解放されていくの」。言葉通り思ってもいない自分が出てきました。今回は栃尾さんが高橋悠治さんに委嘱された『影の庭』を演奏させていただきました。マーラーの角笛の素材が断片的に出てきて最初戸惑ったのですけど、やはり演奏すると思ってもみなかった形になっていた。作品の内包する仕掛けに気づかずにもっていかれた感じです。天才作曲家とダイレクトにつながっている2人のレジェンドとその作品を演奏する機会があるなんて、こんな幸せなことがあるだろうか。こちらも演奏を張っておきます。

高橋悠治さんの『影の庭』の素材を提供したマーラーの角笛から『美しいトランペットが鳴り響くところ』をアンコールに。ブレスのコントロールが驚異的です。とても美しい。そして美しいものは悲しい。角笛の題材は主に中世ヨーロッパの伝承であり、戦争や飢餓がテーマになっているものも多数あります。現在も同じ問題を抱える世界に暗澹たる気持ちになりながら演奏することになり、鬱エンドでコンサートの幕を閉じました。

日程|2023年5月13日(土) 
場所|日本キリスト教団 島之内教会(大阪市中央区東心斎橋1-6-7) 
時間|開演14時 (開場13時半)

《プログラム》

R.アーン R.Hahn (1874-1947)

 クロリスに  À Chloris

P. ボノー P. Bonneau (1918-1995) 

 ワルツ形式によるカプリス  Caprice en forme de valse   

F.プーランク F.Poulenc (1899-1963)  

 歌曲集 「メタモルフォーズ」 Métamorphoses

  1 カモメの女王 Reine des mouettes

  2 あなたはこんなふう C'est ainsi que tu es

  3 パガニーニ Paganini

G.フォーレ G.Fauré (1845-1924)

 イスパハンの薔薇 Les Roses d'Ispahan

F.モンポウ F.Mompou (1893-1987) 

 歌と踊り 第5番 Canción y Danzas nº.5 

M.ラヴェル M.Ravel (1875-1937)

 ハバネラ形式による小品 Pièce en forme de Habanera (Vocalise - Étude)

C.サン=サーンス C.Saint-Saëns (1835-1921)

 バソン・ソナタ ト長調 作品168 Basson Sonata Op. 168

  1 Allegretto moderato

  2 Allegro scherzando

  3 Molto adagio - Allegro moderato

 

A.シェーンベルク A.Schönberg (1874-1951) 

  6つの小さなピアノ曲 作品19 6 kleine Klavierstücke Op.19  

A.ベルク A.Berg (1885-1935)

7つの初期の歌 Sieben frühe Lieder 

   1 夜 Nacht

2 葦の歌 Schilflied

3 ナイチンゲール Die Nachtigall

4 無上の夢 Traumgekrönt

5 部屋のなかで Im Zimmer

6 愛の讃歌 Liebesode

7 夏の日々 Sommertage

高橋悠治 Yuji Takahashi (1938- ) 

  残り火 Embers 

  影の庭 garden of shadows

*サックスソロ  **ピアノソロ

 

   

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