栃尾克樹さんとマーラーの角笛 (8/21)
「きたまち茶論コンサートvol.7 栃尾克樹 バリトンサックスの夕べ〜マーラーへの軌跡」と題してバッハ、ベートーヴェンからマーラー周辺までを辿っていくコンサートをしました。
今回はとくに焦点をあてたのはドイツの民謡です。ドイツとフランスを比べてみると、フランス歌曲は民謡を題材とすることは稀で、どちらかといえばスノッブな世界。対してドイツリートは民謡とは不可分の、子どもや森や魔法が出てくる、わちゃわちゃした世界。栃尾さんの大阪弁おもしろトークが炸裂して、分かりにくいのでは?と思っていたマーラーの「少年の不思議な角笛」も楽しんで聴いて貰えました。
演奏についても書いておきます。特筆すべきは『美しいトランペットが鳴り渡るところ』の長い長いフレーズ。栃尾さんは圧倒的なブレスコントロールで哀しく美しく吹いて下さいました。このフレーズをこんなに美しく演奏する人をみたことがありません。あとピアニストの立場からみた、ブラームスのop.118-2。ブラームス人気No.1のピアノ曲ですが、もうバリトンサクスフォンのソロ曲でよいのでは?と思いました。プログラムはサックスの曲は一つも無く、それなのに楽器の垣根を感じることはまったくありませんでした。どこまでも自然でどこまでも音楽家な方でした。
《プログラム》
J.S.バッハ J.S.Bach (1685-1750)
無伴奏チェロ組曲第1番 プレリュード Suit Nr.1 BWV 1007 Prélude
ベートーヴェン L.V.Beethoven (1770-1827)
アデライーデ Adelaide op.46
シューベルト F.Schubert (1797-1828)
のばら Heidenröslein, D.257
楽に寄す An die Musik D.547
シューマン R.Schumann (1810-1856)
《ミルテの花》より
献呈 Widmung
幻想小曲集 Fantasiestücke, Op. 73
Ⅰ Zart und mit Ausdruck
Ⅱ Lebhaft, leicht
Ⅲ Rasch und mit Feuer
ブラームス J.Brahms (1833-1897)
インテルメッツォ Intermezzo Op.118-2
マーラー G.Mahler (1860-1911)
《少年の不思議な角笛》より
浮き世の暮らし Das irdische Leben
美しいトランペットの鳴り渡るところ Wo die schönen Trompeten blasen
高邁なる知性のお褒めの言葉 Lob des hohen Verstandes
シュトラウス R.Strauss (1864- 1949)
モルゲン Morgen
*アンコール シューマン 5つの民謡風小品より 第2曲